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トマトのきほん。これ、知ってた?
Tomato

毎日の食卓を彩る身近な野菜、「トマト」。実は、世界で最も多くつくられる野菜です。
この記事では、そんなトマトのきほんや意外にも知られていない豆知識を紹介していきます。

トマトの本名

みなさん、トマトの本名をご存じでしょうか?植物の世界だと「学名」というのですが、学名とは世界共通の呼び名のことでラテン語で表されています。現在のトマトの学名はSolanum lycopersicum(ソラナム リコペルシカム)と言います。初めて聞く・見る方も多いのではないでしょうか?!

学名の最初の言葉は、「属名」を表しているのですが、Solanum(ソラナム)とは、「ナス属」のことなので、トマトはナスの仲間ということになるのです!そして、lycopersicum(リコペルシカム)とは、実は、「オオカミの桃」って意味になります。オオカミは肉食のイメージですが、トマトは桃のように美味しいので、実は大好物ってことかもしれません!

トマトはその本名から、ナス属であるとわかりましたが、下の写真はナスとトマトの花。言われてみると似ているような気がしませんか?

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左:トマトの花、右:ナスの花

同じナス科には、ジャガイモ(Solanum tuberosum)もあるのですが、昔近縁の種であるトマトとジャガイモの良いとこどりをしようと考えた研究者がいて、トマトとジャガイモの細胞を特殊な処理で融合させて、「ポマト」なるものを作った人がいました。残念ながら、できた植物は不完全なもので、その植物の栽培が広まることはなかったようですが、土の中でジャガイモができて、地上部でトマトが収穫できたら、一石二鳥でしたね!

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yeondoo leeによるPixabayからの画像

トマトのふるさとはアンデス

トマトは、南米アンデス山脈が生まれ故郷とされており、今でもペルー、ボリビア、エクアドルなどの山岳地帯では野生で生えているトマトを見ることができます。雨が少なく乾燥した地帯で、赤道に近いため昼間は強烈な太陽の日差しがあり、一方で標高2千~3千m級の高地であるため昼と夜の気温差が大きいような環境で生育しています。

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Bret FischerによるPixabayからの画像

日本の夏は苦手

太陽の日差しがたっぷりあり、乾燥した昼と夜の気温差が大きい気候である南米アンデス山脈がトマトのふるさとでした。日本の夏は、最近では40℃を超えるような酷暑を記録するほど暑い気候です。また、海に囲まれているため湿度が高く、夜になっても気温が下がりません。私たち人間がむし暑い熱帯夜で暑苦しくて眠れず、心や体に不調をきたし、いわゆる「夏バテ」になってしまうようにトマトもこんな日本の夏の気候だと、暑すぎて夏バテしてしまうのです。

トマトに限らず、植物は昼間に太陽の光と水と二酸化炭素を利用して、エネルギ-の元となる糖分をたくさん作っています。これを「光合成」と呼びます。一方で、夜の間は、呼吸しかしていないため、昼の間に作った糖分を消費している状態です。夜の温度が暑いと呼吸が激しくなり、エネルギーをたくさん使ってしまうので、元気もなくなるし、美味しいトマトも作りにくくなってしまうというわけです。

太陽の光が好き

一方で、トマトは太陽の光は大好きです。ふるさとのアンデス山脈は赤道直下の高冷地であり、非常に強い日差しが昼の間は降り注いでいます。トマトはその太陽の光を最大限に利用して、真っ赤な果実を実らせています。
その野菜がどのくらい光が好きかということを知る目安に、これより強い光がないと生きていけないよ、という「光補償点」と、ここまでならいくらでも光を使えますよ、という「光飽和点」というのがあるのですが、代表的な野菜と比較して見ると下の表のようにトマトは光を好む野菜であるということが分かります。

野菜の種類 光補償点
(キロルクス)
光飽和点
(キロルクス)
スイカ 4.0 80
サトイモ 4.0 80
トマト 1.5 70
キュウリ 5.0 55
メロン 0.4 55
カブ 4.0 55
カボチャ 1.5 45
セロリ 2.0 45
ナス 2.0 40
ピーマン 1.5 30
ミツバ 1.0 20
ミョウガ 1.5 20
フキ 2.0 20

※松本正雄『蔬菜園芸学』朝倉書店

トマトが1年中手に入るのはなぜ?

暑い夏は苦手だけど、太陽の光が好きなので冬は育てにくい。そんな繊細なトマトですが、スーパーには年中いつでも並んでいますよね?これは、日本列島が縦に長いため、産地リレーというものができるからなのです。例えば春と秋は本州産、夏は北海道産、冬はハウス栽培したものや比較的暖かい九州産などのように栽培する場所を変えてリレーのようにつないでいくことで、季節を問わずみなさんの食卓にお届けすることができるのです。

以下の表は、トマトの生産量県別トップ3ですが、やはり、夏、春秋、冬の産地に分かれていることが良く分かりますね。

県別順位 都道府県名 割合
1位 熊本県 19.4%
2位 北海道 9.1%
3位 愛知県 7.1%

農水省統計:2021年の全国のトマトの出荷量に占める各都道府県の割合

トマトが大木に?

みなさんはトマトが栽培されている畑を見たことがあるでしょうか?普通の畑で栽培されているトマトはツルのように先へ先へと伸びていきますが、放っておくと、脇からべつの芽がたくさん出てきて収穫量が落ちてしまうため、農家さんが芽を摘んだりして、一本の長い枝になるように栽培されています。水や肥料・光・二酸化炭素から作った(光合成)エネルギーを、ツルや芽ではなくて、果実の方につかってほしいので、このような手間をかけています。このような芽を摘んだりする作業をせず、ストレスなく育ててあげると、、、写真のように“大木”になります!1985年のつくば科学万博では巨木トマトが展示され、1つのトマトの種から1万3千個ものトマトをならせたことで人々を驚かせたことがあります。北海道のえこりん村というところでは、毎年この巨木トマトを再現しており、その生命力あふれる姿に観光客の人気スポットになっています。みなさんも機会あればぜひ行ってみてくださいね。

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※農林水産省発行aff 2019年8月号の記事を加工

まとめ

トマトのきほんということで、豆知識の一部をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?身近な野菜ではありますが、意外と知らなかった情報もあったのではないでしょうか?こちらのJournalでは、今後もトマトやリコピュア製品に関連する情報をお伝えしていきたいと思いますので、ぜひまたこちらのサイトをチェックしてみてくださいね。